お湯の中にナイフ。
会社の窓から大きな都心の街並みを見下ろす。
小さな窓の一つ一つに人がいて、
その中で苦しんだり、楽しんだり、切なくなったり、疲れたり、いろいろな人生があることを考える。
わたしはただ窓から見下ろしているだけで全く関係ない人達の人生だけれど、
それを「全く関係ない」と思うことにたまに恐怖を感じる。
ヘリコプターが飛んでいる。
あの中にも操縦士がいて、愛する人や両親がいる。
そんなことを考えると、「点」のような人に渦巻くさまざまなさまざまが身に迫ってきて、他人事としてこのまま人生を終えることを、強烈に寂しく感じてしまう。
近くにいる人の全てすら、知ることができないのに。あんなに遠くにいる人と一度も接点を持たずにただ想像だけで接点を持って人生を終えることに、寂寞とした感情を抱いてしまう。
家主の『お湯の中にナイフ』を聞いて、
変わるために変わることを辞めた、という歌詞がすごく響いた。
ひとり便所で飯食らうくらいねぇ。
へんな考え方!と言われても、
わたしは変わらないし、私だけは自分を肯定していたい。